<株式会社Lotus8(ブルーロータスパブリッシング事業部) 橋村社長>

女性の心と体をテーマにした出版物を数多く世の中にリリースしているのが、株式会社Lotus8(ブルーロータスパブリッシング事業部)だ。ヨガスタジオやカルチャースクールを運営する会社も運営し、ヨガ業界では知らない人がいないとされる同社代表取締役社長の橋村氏が、愛犬ブルチャガとともに、本作りへの秘めたる熱意を語った。

橋村 伸也(はしむら・のぶや)
株式会社Lotus8代表取締役。 雪山関連の本などの制作に携わった後、'03年に『ヨガでシンプル・ビューティ・ライフ』を創刊。日本で初めてヨガをビューティとして一冊に仕上げる。'04年に『Yogini』(ヨギーニ)を創刊。ヨガ以外にも、女性のゴルフシーンなどにも影響を与える媒体を制作してきた。
http://www.lotus8.jp/

──ブルーロータスパブリッシングを設立するまでの経緯をお教えください。
ブルーロータスパブリッシングを立ち上げる前から「Lotus 8」(株式会社ロータスエイト)という制作プロダクションとヨガスタジオやカルチャースクールを運営している会社をやっています。制作プロダクションとして多くの出版社から雑誌や書籍の制作の仕事を受注していましたが、自社で出版物を発行できないかと考え、インプレスコミュニケーションズさんとご一緒させていただくことにしました。以前から、女性向けの本、特に女性の心や体を整えること、女性が豊かになる生活を提案するというテーマを得意分野として雑誌や書籍をつくっており、そのコンセプトはそのままで出版社を立ち上げました。

──女性向けの出版物をつくろうと思ったきっかけは何ですか?
私が以前勤務していた出版社で女性をターゲットにした本をつくることが多かったので、女性を読者対象にするということがイメージしやすかったんです。当時立ち上げた「Yogini」というヨガの雑誌では、ただ雑誌を出すだけでなく、メディアと現場が一緒にヨガ業界自体をつくりあげようと努めました。そのときは"ブームから文化へ"をテーマにし、「振り向けばそこに必ずヨガがある」という世界をどうやって構築するかを課題にしていました。そのため、世間の女性が何を考え、何に興味があるのかを何となく知っていたのでヨガ以外の女性向けのテーマに対しても本をつくっていこうと考えました。

──インプレスグループとの提携に際して、気になることはありましたか?
インプレスグループ内の他の出版社でつくっている出版物とかぶらないかどうかは気にしました。インプレスグループにはいろいろなテーマを扱った出版社があるので、弊社のように女性向けの出版物を出す出版社がいても違和感がなくやりやすいですね。  

ほかに重視したのは、それぞれの出版社のカラーを大事にしてくれて、弊社が自社のイメージのものをつくれるかどうかですよね。テーマや表紙、書籍のタイトルなど出版物の中身にはいっさい関与されずに、すべて自分たちが責任をもってすすめたかったので、それが可能だというのもインプレスコミュニケーションズさんを選んだ理由です。

──実際に提携してみてよかったと感じたことは?
インプレスコミュニケーションズさんの出版物の在庫管理業務と受発注・出荷システム、集計と会計計算のシステム、対取次に対しての"顔"というのがすごく魅力的でした。また、それらのデータをきちんと弊社に出していただけることも大きいですね。すごくクリアです。このような部分が長くおつきあいできるかの最終的な判断に影響すると思います。

また、弊社のような小さい出版社は、出版業界の流れから取り残される不安がありますが、書店さんや取次さんの動向、電子出版業界など、出版業界全体の情報を知ることができるのもよいことだと思いますし、いろいろ相談にのっていただけるのもいいですね。

──世間の"本離れ"の影響はありますか?
あると思います。ただ女性の場合、情報を得るのにスマートフォンやWebサイトを利用することはありますが、技術を得るのは本のほうが多いでしょう。女性が本を買う際には、お得感があるものや手に取る喜びを感じられるものを選ぶので、いい本をつくることを追求しています。装丁がおしゃれだったり、きれいだったりというのは重要で、時には制作費が多少オーバーしても取り組むこともあります。もちろん単にきれいにつくるだけではなく、本を買う習慣が定着している40代以上の世代にも読みやすいデザインにする必要もあります。誌面デザインのおしゃれな雰囲気と読みやすさのバランスを見つけるのはたいへんですね。

──御社の本には理念が書かれたページがありますよね。
本の中に"私たちはこういう思いで本をつくっています"ということを書いたページを入れています。作り手は思いを持ってていねいにつくることしかできないんですよ。写真も、デザインも、編集者や著者がきちんとつくっていくことしか読者にそれを伝える方法はありません。それを読者の方が感じ取って評価してくれたら、それがひとつのブランディングと言えます。お客様が"ブルーロータスパブリッシングの本ってなんかすてきだな"って思って、ほかの本を買ってくれたりファンになってくれたりします。そのためにはきちんと理念をもってていねいにつくることが大事です。

──今後どのような本をつくっていきたいですか?
定期刊行のムックを出したいと思います。Webサイトも利用して読者のコミュニティをつくっていきたい。ムックの立ち上げと同時にWebサイトをたちあげるのは、ブランディングのためでもあるし、そのようなシステムをつくらないと出版ビジネスとしてはこれからはきびしいと思います。

Webの読者とムックの読者は異なっています。ムックは見やすさ、大きさ、開きやすさがあって、年齢層がちょっと高めの人に向けたデザインにして、Webはそれよりも低い年齢層向けのデザインにするかもしれません。それぞれで読者をもってあわせて形になるメディアですね。

やはり売れ行きのいいものをつくっていきたいですね。点数をしぼってしっかり売れるテーマの書籍をつくり、ていねいに売っていきたいと思います。

──橋村社長のいま一押しの書籍をご紹介ください。
3月に出て売れている『いますぐはじめる子宮活』ですね。"子宮活"というタイトルがすごく新しい。ホルモンバランスの崩れとか生理の遅れとか、子宮が発端となる女性の問題がいろいろあります。みんな"子宮活動"しなきゃいけないというのはわかっていますから、このようなタイトルには反応してくれると考えました。マンガでキャラクターが内容を説明してくれるので読みやすく、読み手が問題意識をもって読み進めることができます。つまり、この本は「そうそう私も」っていえる本なんです。この本を読んだ後で自分をどう変えていくか、ということについては、昨年出した『月経美人セルフケア』を読んでみてください。

──ブルーロータスパブリッシングの本の読者へのメッセージを。
数ある本の中から弊社の本を選んでいただいたことはすごく光栄です。一冊一冊、作り手はすごくていねいにつくっているので満足していただけるのではないかと思います。これからもお客様が気になるような本をつくっていきたいと思いますので、ぜひ弊社のWebサイトや本屋さんでどのような本があるかをチェックしてください。

取材日:2013年6月10日
取材・文・撮影=インプレスコミュニケーションズ・デジタル事業本部

橋村社長の一冊

イギリスの各新聞がつけている日曜版の雑誌なんです。タブロイド判で、写真がどれもすごくきれいでかっこいい。自分がこの雑誌に出会ったのは21歳くらいで、当時イギリスに留学していたころでした。「何でこの写真を大きく使用しているんだろう!?」と思うくらい、日本では考えられないような写真をセレクトし、掲載しているんですよ。それが斬新でした。デザインもあり、すごくファッショナブルで、見ていて楽しかったんです。毎号すごく楽しみにしていたのですが、いろいろな新聞社が出しているので、集めるのがすごいたいへんでした(笑)。書かれている文章を読むより、見ているのが好きでした。

日本に帰ってきてからそのような判型の本をつくりたいなって思ったんですけど、日本で出すにはいろいろな問題があっていまだつくれていません。実は1回だけサンプルとしてつくりました。自分で写真を撮って取材もしてデザインもしたんですが、お金がかかりすぎてしまって(笑)。当時22、23歳だったので、お金の集め方や広告の取り方もわからず、フリーランスのライターとしてはすでに仕事をしていたのですが、編集・広告・販売など、出版業界のことはまったくわからないまま自分ひとりでやったので、いま思えばいい勉強でした。ちなみにその当時、フリーランスで山と溪谷社(インプレスグループ)の仕事をしていたんですよ(笑)。