年賀状の構成
表面の構成
原則として、はがきの裏面に合わせて、表面の縦書きと横書きを使い分けます。年に一度の新年のあいさつです。住所は省略せずに、都道府県やアパート、マンション名まで正確に記入しましょう。また、渡辺の「辺」が「邊」や「邉」という場合など、相手の氏名を正しく表記するよう気配りが必要です。
裏面の構成
年賀状は本来、賀詞と日付、氏名で成立するのですが、基本的な文面構成には5つの要素があります。出す相手やデザインによって添える言葉を選んで構成しましょう。
- ① 賀詞(新年を祝う言葉)
- 「あけましておめでとうございます」「賀正」「謹んで新年のご祝詞を申し上げます」など
- ② お世話になったことへのお礼やあいさつ
- 「旧年中は大変お世話になりました」「昨年中は何かとお世話になりありがとうございました」など
- ③ 相手の健康や繁栄を願う言葉
- 「皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます」「貴家御一同様のますますのご繁栄を祈念いたします」など
- ④ 今後の指導や支援をお願いする言葉
- 「本年もどうぞよろしくお願いいたします」「本年も変わらぬご芳情を賜りますようお願い申し上げます」など
- ⑤ 年号・日付、住所・氏名
- 「令和2年元旦」「2020年1月1日」など。裏面に差出人の情報を入れる場合は、郵便番号も忘れずに記載する
敬称の選び方
宛名につける敬称にもマナーがあります。一般的に「様」にしておけば問題ありませんが、別の敬称にするときは注意しましょう。
様 |
誰にでも使える |
先生 |
恩師、医師、弁護士、政治家宛て |
ご一同様 |
家族全員宛て |
御奥様 |
夫婦宛てで夫人の名前がわからないとき |
御中 |
会社、部署、団体など組織宛て |
兄、大兄、学兄、君 |
男性の友人宛て |
殿 |
目下の人宛て。ただし近年では公務でも使われないので、避けたほうが無難。 |
なお、組織の中の個人宛てにするときには「××株式会社御中 ○○様」とはしません。「××株式会社 ○○様」とします。
賀詞の選び方
特に目上の人に送る年賀状で気をつけたいのが賀詞。1文字や2文字の賀詞は目下の人向けとされているので、人によっては不快な思いをさせてしまうかもしれません。
また、最近では被災などでとても新年を祝う気分になれないという人に配慮して、「おめでとう」や「祝う」などの言葉のない賀詞を使ったり、賀詞を入れずに、「年始状」(年賀状の「賀」にはおめでたい意味があるため)として送る人も増えています。
1文字「寿」「福」「賀」「春」「慶」など |
目下の人向け |
2文字「賀正」「迎春」「賀春」「頌春」「初春」など |
目下の人向け |
4文字「謹賀新年」「恭賀新春」「敬頌新禧」など |
目上の人向け |
文章「あけましておめでとう」「謹んで新年のお慶びを申し上げます」など |
誰にでも使える |
外国語「Happy New Year」など |
親しい人向け |
「新しい年のご挨拶を申し上げます」など(「賀」「慶」「祝」「おめでとう」など、めでたい言葉のない文章) |
年始状向け |
気をつけたい言葉
- 忌み言葉
- 不吉なことを連想させる言葉を「忌み言葉」と言い、慶事では一般的に使用しません。結婚、出産、お見舞いなど、目的によって忌み言葉になる言葉には多少の違いがあります。年賀状では、「別れる」「離れる」「失う」「倒れる」「衰える」といった言葉は避けたほうが無難でしょう。やってしまいがちなのは「去年」という言葉。「去」には「別れる」「離れる」といった意味があります。「昨年」「旧年」などと表記するようにしましょう。
- 句読点
- 「、」や「。」は、もともとは文字をうまく読めない人が読みやすいように使われ始めたと言われています。年賀状のように、相手に敬意を払った文章には一般的に使用しません。文章が長くなるときには、改行やスペースを使いましょう。ただし、友人など気の置けない間柄の人には、ひとつの表現として使ってもよいでしょう。
- 意味の重複
- 同じ意味の言葉が重複しないようにしましょう。賀詞では「新年あけましておめでとう」という言葉に注意。新年は「年があけた」ことを表しているので、「あけまして」と重複した意味になります。また、年号で「一月一日 元旦」と書くことも重複となります。「元旦」はそれだけで一月一日の朝を表しますので、「○○年 元旦」と書くことが正しい使い方です。「元日」は一月一日のことを指します。
- 文字の修正
- 当たり前のことではありますが、ペンや筆で文字を間違えて書いてしまったら、潔く新しいはがきに書き直しましょう。訂正線や修正液で修正した年賀状を送るのは大変失礼にあたります。一文字ずつ心を込めて書けば、失敗も少なくなることでしょう。
海外への年賀状の送り方
海外で暮らす家族や友人だって、新年の挨拶状は嬉しいもの。年賀はがきに切手を追加して70円分の切手になるようにすれば、海外にも年賀状を送ることができます。日本郵便のホームページに詳しい送り方が掲載されていますので参考にしてください。
海外年賀で注意したいことが相手に届く日。海外では年賀状を1月1日の配達まで待ってはくれませんので、あまり早く投函すると年が明ける前に届いてしまいます。日本郵便の国際郵便お届け日数表を参考に、逆算して投函しましょう。
喪中欠礼のマナー
- 自分が喪中のとき
- 11月下旬~12月上旬くらいを目処に喪中欠礼を出します。郵便局での年賀状の引き受け開始が12月15日頃ですので、それまでに届くようにしましょう。内容には喪中欠礼の挨拶、故人の名前、亡くなった日付、差出人から見た故人の続柄を明記します。喪中とする近親者の範囲は、2親等(祖父母、兄弟姉妹、孫)までが一般的です。
また、喪中なのに年賀状を受け取ったときは、1月7日(松の内)を過ぎてから、寒中見舞いとして返信を書きましょう。喪中欠礼を出していなかった場合は、お詫びの言葉と故人の名前などの事情を簡潔に記載し、最後に相手の健康を祈る言葉を添えます。
喪中でも年賀状を受け取りたいときは、喪中欠礼に「年賀状は受け取らせていただきますのでお気遣いなくお送りください」などの文言を加えても構いませんが、相手によっては不快に思うこともありますので、相手の気持ちを考えて記載するようにしましょう。
- 相手が喪中のとき
- こちらから年賀状は出さないようにします。どうしても手紙を送りたいときは、1月7日(松の内)を過ぎてから、寒中見舞いとして出しましょう。ただし、「たびたび」「重ねがさね」「また」などの弔事における忌み言葉は使わない、派手な色は避けるなどの配慮が必要です。また、喪中と知らずに年賀状を出してしまったときには、年賀状が届く前か1月7日(松の内)を過ぎてからのどちらかに、訃報を知らなかった旨、お詫びとお悔やみの言葉を添えて、寒中見舞いを出しましょう。
なお、相手が喪中でも年賀状を受け取りたいとわかっているときは、年賀状を出しても構いませんが、「祝」「賀」「慶」などめでたい言葉は使わないようにするなどの配慮はしたほうがよいでしょう。
寒中見舞いのマナー
寒中見舞いは一般的には1月7日(松の内)を過ぎてから、2月4日(立春)の前日までに出す挨拶状です。寒さの厳しい季節ですので、相手の健康を気遣う言葉などを添えて出すとよいでしょう。また、喪中などの事情により自分が年賀状を出せないとき、喪中なのに年賀状を受け取ったときの返信、相手が喪中のときの挨拶状としても使われます。いずれの場合も1月7日(松の内)を過ぎてから届くように出しましょう。