メールやスケジュール管理、あるいはファイル共有といった機能は日常的に利用するものであり、それだけに些細な使い勝手の善し悪しが業務に及ぼす影響は決して小さくない。ここでは、メール機能を日常的に利用するユーザーの視点から、基本的な操作の流れや使い勝手の違いと使いこなしのポイントをチェックしていこう。

TEXT:インサイトイメージ 川添 貴生

 
Webブラウザー経由で利用した場合の使い勝手を検証

 クラウドサービスへの移行では、コストの削減、障害やセキュリティへの対策の強化といった、経営者や管理者が大きく影響を受けるメリットがクローズアップされることが多い。一般のユーザーとしては、情報基盤へのアクセス性が向上するというがメリットがあるわけだが、それ以上に、メールやカレンダー、情報共有の環境が、クラウド化によって一新されると、自分たちにどういう影響があるのだろうか、という疑問や不安を感じる人も少なくないだろう。

 ユーザーの視点でOffice 365やGoogle Appsを見た場合、気になるのは「今まで使っていたメールやカレンダー、情報共有環境から使い勝手は変わるのか」という点ではないだろうか。メールの送受信、スケジュール確認やファイルの共有は、多くの人が日常的に行う作業であり、従来の環境で用意されていた機能がなくなっていたり、あるいは使い勝手が大幅に低下したりすれば、ユーザーが新しい環境に慣れるまでの間の生産性が低下したり、ユーザーからの大きな反発を受けたりすることになりかねない。

 クラウド化することによって生じる大きな使い勝手の変化や、Google Apps for BusinessとOffice 365の間での操作性や使用方法の差異は、Webブラウザー経由でメールやスケジュール管理、ファイル共有といったクラウドサービスの機能を利用する場合に特に顕著に現れる。災害対策の一環として、自宅でも業務が遂行できる環境を整えたいと考えている企業にとっては、インターネット接続とWebブラウザーがあればどこからでもサービスが利用できる仕組みが標準で用意されているメリットは大きい。とはいえ、今まで慣れ親しんだメールアプリケーション環境は離れがたい。それだけに、環境の移行を社内に提案する前に、ユーザー視点での環境の評価や情報は事前に集めておきたいところだ。

 今回は、Google AppsとOffice 365のメール機能について、具体的にユーザーインターフェイスや操作性がどのように異なっているのかを細かくチェックする。

ラベルを使ってメールを整理するGoogle Appsのメール機能

 Google Appsでメール環境として用意されているのは、個人ユーザー向けに提供されている「Gmail」とほぼ同等のものだ。画面の中央には受信したメールのリストが画面中央に大きく配置されており、リストからいずれかのメールをクリックすると、リストが表示されていた領域にメール本文が表示される。同様に、[作成]ボタンをクリックすると、この領域にメールの新規作成画面が表示される。

 基本的には、メールのリスト表示、内容の閲覧、メールの作成を、サブウィンドウを別途表示せず、1枚のウィンドウの中で画面を切り替えながら行うユーザーインターフェイスとなっているが、ボタンをクリックして表示中または作成中のメールを別ウィンドウ表示させることも可能だ。なお、送信するメールを作成するときには、HTML形式を利用することもできるので、文字装飾(ボールド/イタリック/アンダーラインなど)や箇条書き、画像などを貼り付けたメールを作成できる。

 ファイル添付は、[件名]フィールドの下にある[ファイルを添付]リンクをクリックする。これで表示されるファイル選択ダイアログを使って、添付したいファイルを指定すればよい。なおWebブラウザーとしてGoogle Chromeを利用していれば、ドラッグ&ドロップでもファイルを添付することができる。

Google Appsのメール機能のメイン画面。受信したメールの一覧が中央に大きく表示するインターフェイスで、プレビュー用の表示領域はない。
Webブラウザーに「Google Chrome」を利用している場合、エクスプローラーからのドラッグ&ドロップでファイルを添付できる。

 Google Appsのメールでユニークなのが、「ラベル」を使ってメールを整理する仕組みである。一般的なメールクライアントにおけるフォルダーによる仕分けに相当する機能だが、大きく異なるのは1通のメールに対して複数のラベルを割り当てられるという点だ。フォルダーを使った分類の場合、フォルダー内にメールの実体が保存されるという形になるため、1通のメールを複数のフォルダーに分類するということはできない。しかしラベルなら、こうした制約を受けずにメールを整理できるわけだ。もちろん、あらかじめルールを作成して自動的にラベルを割り当てるように設定することも可能だ。

 このような形でメールを分類するため、Google Appsのメールでは基本的にすべてのメールの実体が受信トレイに保存されることになる。特定のラベルを割り当てたメールだけを見たい場合は、画面左側のラベル一覧から目的のラベルを選択する。

 また受信トレイから特定のメールを除外したい場合のために、「アーカイブ」と呼ばれる仕組みが用意されている。これはメールを選択して[アーカイブ]ボタンをクリックすると、そのメールが受信トレイの一覧に表示されなくなるというもの。ただメールの削除とは異なり、画面左の[開く]をクリックすると現れる[すべてのメール]を選択すれば確認できる。メールを削除することも可能だが、「メールの実体は削除せず、受信トレイの一覧から不要なメールを非表示にしたい」といった場合で使えるだろう。

 これまで、オンプレミスやホスティングのメール環境を利用していた企業の場合、ユーザーのメール環境は、OutlookシリーズやMozilla Thunderbirdなどといったメールアプリケーションを利用しているだろう。これらのアプリケーションとGoogle Appsのメール機能とでは、フォルダーの概念がなかったりスレッドビュー形式のみの表示であることをはじめとしてユーザーインターフェイスやメールの整理方法の面で大きく使い勝手が異なっており、初めて使うユーザーは、このインターフェイスに慣れるまで多少の時間を要する可能性が考えられる。ユーザーのリテラシーにもよるが、これまでOutlookなどのメールアプリケーションを利用していた企業の場合は、環境の移行の際には、使い方の事前説明やトレーニング、職種によっては業務プロセス変更といったフォローの必要性も考慮しておこう。また、メールの検索も添付ファイルの内部まで検索してくれるわけではないので、検索時には注意が必要だ。

フィルタを作成すると、受信したメールに自動でラベルを割り当てたり、指定したメールアドレスに受信メールを転送したりすることができる。
 
Outlook 2010と同等の使い勝手を実現したOffice 365のWebメール環境

 Office 365のWebメール機能では、メールの送受信に「Outlook Web App」というWebアプリケーションを使用する。インターフェイスはデスクトップアプリケーションであるOutlookに近く、左側にメールを分類して管理するためのフォルダーや連絡先、そして「予定表」、「連絡先」、「タスク」などの機能にアクセスするためのボタンが並ぶ。フォルダーを選択すると画面中央にメールの一覧が表示され、そこからいずれかのメールをクリックすれば画面右側のプレビュー領域に表示されるという形だ。またリストとして表示されているメールをダブルクリックすれば、新規ウィンドウの中でメールを確認することができる。

 Outlookシリーズとほぼ同様のキーボードショートカットも利用できるようになっており、新規メール作成や返信、選択しているメールの既読/未読切り替えなどがキーボード操作で簡単に実行できる。Webアプリケーションながら、操作感はデスクトップアプリケーションにかなり近い。

 やや使い勝手が悪いのは、ファイルを添付する場面である。Outlook Web Appではドラッグ&ドロップによるファイル添付には対応していないため、ファイルを送る際は新規メール作成ウィンドウの上部にある[添付ファイルの追加]ボタンをクリックし、表示されたファイル選択ダイアログから添付したいファイルを選ぶという手順が必要となる。なおマイクロソフトが提供している「Silverlight」をインストールすると、指定したファイルのアップロードがバックグラウンドで行われるようになるなど、若干使い勝手が改善される。メールでファイルを送信する機会が多いのであれば、ぜひSilverlightをインストールしておきたい。

Office 365でメールの送受信に利用する「Outlook Web App」のメイン画面。左側にフォルダ、中央にメールのリスト、右側にプレビューが表示される。
新規メール作成を始めると、基本的に1画面で完結しようとするGoogle Appsと違い新しいウィンドウが別に表示される。

 受信したメールの管理は、デスクトップアプリケーションのOutlookと同様にフォルダーを使って管理することができる。ドラッグ&ドロップにより手動でメールを移動できるほか、ルールを作成して自動的に振り分けるといったことも可能である。また、個々のメールに対してさまざまな色のラベルを付けられる「分類」機能も用意されており、たとえば後から返信するメールに対して特定のラベルを付けて目立たせるといった使い方ができる。

 目的のメールを探し出すための機能としては、メールボックス全体を対象として、メールヘッダ、あるいは本文に指定したキーワードを含むメールを表示する検索機能が用意されているほか、自分宛に送られてきたメールだけ、あるいは指定した差出人のメールだけなど、指定した条件に合致するメールだけを表示する「フィルター」機能も利用できる。日々多くのメールを受信しているユーザーでも、これらの機能を活用すれば目的のメールをすばやく探し出せるだろう。

Outlook Web Appでは、Outlook 2010など多くのメールアプリケーションと同様にフォルダーを使ってメールを分類する。
必要なメールを絞り込むときに便利な[フィルター]。フォルダーで仕分けて保管し、フィルターと検索で必要なメールを見つける、というのがOutlookの作法だ。
 
ポイント
・Google Appsのメール機能では、フォルダーへの仕分けの概念がないのでラベルと検索で情報を活用しよう
・Office 365のメール機能のユーザーインターフェイスはOutlook 2010と非常に近い

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