やまもと旅館 経営方針ヒアリング記録
ヒアリング実施日：2026年2月10日（火）13:00〜15:30
場所：やまもと旅館 1階 打合せ室
出席者：山本美奈子（女将・総務担当）、山本健太（副支配人・跡継ぎ）、田中洋介（地域金融機関 融資担当）
記録者：田中洋介
目的：中期経営計画策定に向けた経営課題・方向性のヒアリング
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※この記録は田中が社内報告用にまとめたものです。発言は要旨であり、一字一句正確な書き起こしではありません。
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ヒアリングの背景
当行の取引先であるやまもと旅館から、中期経営計画の策定に向けたサポートを依頼された。旅館は創業68年目。客室数18室（和室14・露天風呂付き特別室2・洋室2）、年間稼働率69%、売上約1億8千万円（2025年度見込み）、リピーター率約40%。所在地は山間部温泉地、最寄り駅から車で40分。従業員は正社員8名・パートアルバイト12名。料金帯は1泊2食付き1人15,000〜38,000円。
今回のヒアリングは、女将（美奈子さん）と跡継ぎの健太さんの間で意見の対立があると事前に聞いており、両者の認識を整理することも目的の一つ。
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事業の現状について
田中：現在の経営状況について、まず数字の面から確認させてください。稼働率69%というのは回復してきているということでしょうか。
美奈子：そうですね、コロナ禍から比べたら全然良くなりました。ただ稼働率の問題というより、繁閑の差が大きすぎるんですよ。週末と祝前日は18室ほぼ埋まるんですが、真冬の平日とか梅雨の時期とか、本当に厳しい。あの時期は固定費だけが出ていくような感じで。
健太：リピーター40%というのも数字だけ見ると良さそうに見えるんですが、問題があって。リピーターの方々が高齢化してきているんです。30年来のお客様もいらっしゃって、女将は大事にしていますし、私もそれは正しいと思う。でも10年後も来ていただけるかというと…。新しいお客様を獲得できていないということでもあります。
美奈子：健太の言うことはわかります。でも来てくださっている方を疎かにするのは違う。昨日も常連のお客様から「また来るね」って言っていただいて、ああやっぱりこういうことが大事なんだなって。
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旅館の良いところ・資産について
田中：旅館の強みというか、お二人が「これは大事にしたい」と思われることは何ですか。
美奈子：まず温泉ですね。うちは源泉かけ流しで、泉質の良さは県内でも評判をいただいています。それから料理。料理長が25年のベテランで、地元食材を使った季節の懐石は本当に喜んでいただいています。68年の歴史と老舗としての信頼感も大事。常連さんとの深い関係。あとは私が直接もてなせること。小規模だからこそ、お客様のお名前を覚えてお声がけできる。そういう目が届くサービスが都市部からいらっしゃる方の非日常体験として価値があると思っています。変えてはいけないものだと思っています。
健太：温泉と料理は間違いなく大事な資産です。ただ、正直に言うと、その価値の多くが「人」に依存しているのが心配で。料理長が辞めたら料理の良さがなくなる。女将が対応できる量にも限りがある。今の強みを10年後も維持できるかを考えないといけないんです。
美奈子：（少し黙ってから）それは…。料理長は大丈夫だと思いますが、確かに一人の方に頼っているというのは事実ですね。
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現場で感じている課題について
健太：課題については、私から先に言いますね。一番大きいのはウェブ予約の導線が弱いこと。自社サイトが10年前のデザインで更新されていない。宿泊予約は旅行代理店経由が60%で、手数料コストが重い。試しに旅行予約サイトに登録してみたら月に3件問い合わせが来た。つまり潜在需要はある。今まで見えていなかっただけで。
美奈子：でもインターネット経由のお客様って、キャンセルが多い印象があるんです。常連さんの紹介や信頼できる旅行代理店経由の方が実際に安心できる。もちろんデータで比べたことはないですけど…。
健太：それが問題で、データがないまま印象で判断してしまっているんです。若い客層、20〜30代のカップルとか、そういう方々へのアプローチがほぼない。施設の老朽化も気になっていて。洗面所と大浴場の設備が20年以上前のものです。SNSや口コミサイトでの発信もほぼないので、認知が口コミ頼みになっている。
美奈子：健太が課題と言うものを私は全部課題とは思っていないんですよね。インターネット経由の予約を増やしたからといって、うちが良くなるとは限らない。
田中：外部からの視点で言うと、稼働率の繁閑差が大きいという話は、客層の偏りと関係があるかもしれませんね。
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外部環境の変化について
田中：最近の外部環境の変化について、何か意識されていることはありますか。
健太：インバウンド（海外旅行者）が増えています。温泉・和食文化への関心が高まっているので、チャンスだと思っています。でも英語対応できるスタッフがいない。どこから手をつければいいか。あとワーケーション需要もあると思うんですが、うちは立地的にWi-Fi環境が弱くて、まず通信環境の整備が必要です。静かな環境というのは、ウェルネスやデジタルデトックスを求める方にとって強みになりえます。体験型観光への関心も高まっていて、農業体験・地元文化との融合が評価される時代になっています。自治体の観光振興補助金も活用できる可能性がある。
美奈子：海外のお客様がたくさん来ても、おもてなしの心が通じるか心配です。言葉の問題もありますが、文化の問題でもある。今来てくださっているお客様を大事にできているかどうかを先に確認しないと。
健太：反対に厳しい話をすると、人手不足は本当に深刻です。この春もパートが2人辞める予定で、補充が見つかるか不安で。近隣の温泉地では大型ホテルが設備投資を続けていて競争は激しい。物価・光熱費・食材費の上昇でコスト増が収益を圧迫しています。少子化・人口減少で国内旅行市場が長期的に縮小していくのも避けられない。旅行代理店の力が低下して大手予約プラットフォームへの依存が高まっていくのも課題です。
美奈子：人手不足が一番つらい。本当に。
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方向性についての議論
田中：お二人の間で、今後の方向性についてどのようにお考えですか。
健太：私が考えているのはいくつかあって。まずウェブとSNS強化で自社予約サイトのリニューアル、写真・動画コンテンツを充実させること。インバウンド対応で英語対応スタッフの採用または研修、多言語メニュー作成。客室のリノベーション、露天風呂付き客室を増やして特別室4室体制にしたい。高付加価値路線へのシフトで全室稼働より客単価を優先したい。体験プログラムも開発したい。温泉・食・地域文化を組み合わせた宿泊体験の商品化です。投資総額は3〜4千万円の試算で、借入増加を検討しています。この方向性で動かないと5年後に手遅れになると思っています。ただ投資の根拠となる詳細計画はまだ作れていないんですが。
美奈子：3〜4千万円の借入は…怖いです。先代（父）がバブル崩壊の時に投資で苦労したのを見ています。リスクを取れる体力が本当にあるのか確認したい。根拠のある数字を見せてもらわないと。
美奈子：数字だけで動くと大切なものを失う気がします。68年のおもてなし文化、お客様の名前を覚えて声をかけること、小さな気配りを大切にすること。料理長や仲居長との関係。常連客との絆。予約台帳に書かれた30年来のお客様の記録と思い出。地域の農家・漁師・観光協会とのつながり。規模感、大きくなりすぎない、家族経営の温かさを残すこと。これらは数字では測れない価値で、守らないといけない。
健太：女将の言うことも分かります。でも感情論だけでは経営はできない。どうすれば両立できるかを一緒に考えたい。正直、現状は二人の意見が平行線で、何も決まらない状態が3ヶ月続いています。
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数値目標について
田中：数値目標について、当行としても具体的な数値と投資計画をお示しいただきたいのですが。
健太：私の案では、3年後の稼働率75%、客単価平均2万5千円から3万円への引き上げ、売上2億2千万円です。ただし根拠を詰め切れていない部分があって。女将に数値を提示すると「その根拠は何か」と聞かれると答えられないことが多い。正直なところです。
美奈子：現状維持でいいと思っています。大きく変えないで、売上より利益率と現金確保を重視したい。根拠のない数字を「目標」として掲げるのは誰かを欺くようで嫌なんです。金融機関には本当のことを伝えたい。数値目標について合意できていないのは事実なので、数値より先に方向性の合意が必要だと思っています。
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未解決の論点と次のステップ
ヒアリングを通じて、以下の論点が未解決であることを確認した。
方向性の合意（変革か守成か、あるいは両立か）→ 3ヶ月間合意に至っていない
投資優先順位（ウェブ改善・客室リノベ・インバウンド対応のどれから始めるか）→ 未決定
数値目標の設定（3年後・5年後の売上・稼働率・客単価）→ 美奈子案と健太案の対立
資金調達（借入増加のリスクと必要性）→ 評価が分かれている
スタッフ採用・育成（特にインバウンド対応）→ 対策未検討
次回は3月中に、田中も参加した上でもう一度方向性を詰める場を設けることになった。
健太さんから「女将と一度腹を割って話したい、この記録を見ながら二人だけで話す時間を作りたい」という申し出があった。美奈子さんは「こうやって書き出すと何が論点か分かりやすい。ただ経営判断は人の気持ちと信頼の問題なので、全部解決できるとは思わない」と話していた。
当行として中期計画の具体化をサポートする予定だが、両者の方向性の合意が先決事項と判断する。