はじめに(本文より抜粋)

 まだリリースされていないDelphiという製品をZack Urlockerが紹介してくれたとき、私はそれが自分自身の仕事、ひいては他の多くのソフトウェア開発者たちの仕事を変えることになるだろうと悟った。かつてはWindowsのC++ライブラリに悪戦苦闘していたものだが、以来ずっとDelphiは、私にとってWindowsのためのオブジェクト指向プログラミングとビジュアルプログラミングのベストコンビネーションであり続けている。

 こうした伝統とVCLの強固な土台に支えられたDelphi 4は、これまで以上に驚異的で包括的なソフトウェア開発ツールになっている。本書を手にする読者なら、データベースやクライアント/サーバー、多層アーキテクチャ、イントラネット、インターネットのためのソリューションを模索しているのではないだろうか。コントロールやパワーを求めているのかもしれない。あるいは作業の能率アップを目指しているのかもしれない。探し物が何であれ、Delphi 4と本書に満載されたテクニック/ヒントをもってすれば、目的は達成できるだろう。

Delphiの経緯

 Delphiの最初のバージョンでは、フォーム/オブジェクトを使ったアプローチ、超高速コンパイラ、優れたデータベースサポート、Windowsプログラミングとの緊密統合、コンポーネント技術といった特徴に魅了されたものだが、もっとも重要だったのは、すべての土台になっているObject Pascal言語だった。

 Delphi 2でDelphiはさらに進歩した。追加機能としては、多重レコードオブジェクトと改善されたデータベースグリッド、OLEオートメーションのサポートとバリアント型データ、充実したWindows 95のサポートと統合、長い文字列型データ、ビジュアルフォーム継承が特に重要だった。Delphi 3にいたっては、コーディング支援機能、DLLのデバッグ、コンポーネントテンプレート、TeeChart、Decision Cube、Web Broker、コンポーネントパッケージ、ActiveForm、インターフェイスによるCOMとの驚異的な統合が追加された。

 Delphi 4の新機能で特に注目すべきものとしては、超高速AppBrowserエディタ、Windowsコモンコントロールサポートの改善とWindows 98関連の新機能、改善されたOLE/COMのサポート、拡張されたデータベースコンポーネントとBDEの新バージョン、VCLコアクラスへの機能追加(コントロールのドッキング、制約、アンカーなど)を挙げることができる。

 本書を読み進むにつれて、Delphi 4の豊富な新機能が明らかにされていくことだろう。

 Delphiは優れたツールであると同時に、数多くの要素で構成された複雑なプログラミング環境でもある。本書は、Object Pascal言語、Delphiコンポーネント(既存のコンポーネントと独自に開発するコンポーネント)、データベースとクライアント/サーバーのサポート、Windows/COMプログラミングの重要な要素、インターネット/Web開発など、Delphiプログラミングの習得を助けるものである。

 本書を読むにあたって、こうした事柄について詳しい知識は要求されないが、Pascalプログラミングの基礎知識は必要だ。Delphiを多少でも知っていれば、特に本書の導入部分を過ぎたあたりからおおいに助かるはずだ。冒頭からすぐに突っ込んだ内容に突入するからだ。全体を通じて、Delphi 4の新機能を章ごとに分けて扱っている。

本書の構成

 本書は5つの部に分かれている。

 以上述べた概略からわかように、本書は、「上級ビギナー」からコンポーネント開発者にいたる各種レベルのDelphiユーザーを念頭に話題をしぼっている。

 本書は、リファレンス的な情報をほぼ全面的に排除する代わりに、Delphiを有効利用するためのテクニックに焦点を当てている。Delphiには充実したオンラインドキュメントが用意されているので、本書でコンポーネントのプロパティやメソッドの一覧を記載するとくどくなってしまうからだ。また、Delphiが少しでも変わると、たちまち本書が時代遅れになってしまう。コンポーネントなどのリファレンス的な情報については、Delphiのヘルプファイルをそのつど参照しながら本書を読むことを勧める。

 そうは言っても、本書の執筆にあたっては、コンピュータなしでも読めるように工夫したつもりだ。その意味では、本書に掲載した画面の図やコードの抜粋が役立つだろう。読みやすくするため、書式に関する決まりごとも少ししかない。コードのリストは、Delphiのエディタに現れる書式に似せて掲載しており、キーワードは太字、文字列定数は斜体になっている。

Delphiのバージョンと版について

 本書では、基本的にDelphi 4のProfessional版を使うことを前提に解説を進めている。Part 5の一部の章では、Delphi 4のClient Server Suite版にしか付属しないコンポーネントを使ったテクニックも解説しているが、多くの場合はClient/Server Suite版でなくても使える代替テクニックもできる限り示した。

 本書には、Delphi 4 Professional以外でも有効に使えるテクニックを多数掲載しているが、本書を最大限に活用するには、Delphi 4のProfessional版を起動し、Delphi 4の新機能を解説したサンプルプログラムを実際に操作しながら読んでほしい。


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