甲斐 祐樹（かい・ゆうき）

大手電機メーカーにてシステム営業に従事したのち、株式会社インプレスで、Webニュース記者としてブロードバンドやオンラインサービス、ソーシャルメディアを中心に取材する。2009年にアジャイルメディア・ネットワーク株式会社に転職し、ソーシャルメディアマーケティング関連業務を担当。2012年に同社を退職後はフリーランスとして活動するかたわら、ネット接続型家電の企画・開発を行う株式会社Cerevoに参画。広報・マーケティング活動全般を担当する。

著書『スマホ＆タブレット“二刀流”仕事術。』『できるポケット＋ Androidスマートフォン仕事術』『Chromecastの使い方　何ができる？』『知らないと損する！Dropbox厳選テクニック27』『今からはじめる！Dropbox超入門』（以上、インプレス）

ブログ「カイ士伝」 http://bloggingfrom.tv/wp/

はじめに　〜テレビはPCやスマホで見よう！〜

　みなさんは「テレビ」という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。NHKや民放テレビ局が放送する番組も「テレビ」と呼ばれる一方、ソニーなどの電機メーカーが販売する、テレビ番組を受信するための機械も「テレビ」です。つまり日本語では、テレビ番組と番組を見るためのハードウェアの両方が、区別なく「テレビ」という名前で呼ばれています。

　これは、これまでテレビ放送とテレビ番組は一緒に使うことが当たり前だったからです。ビデオテープやDVDレコーダー、ブルーレイレコーダーなど、テレビ番組を録画する製品は登場したものの、放送中の番組はもちろんのこと、録画番組を見るのはテレビであり、放送と受信機、どちらを「テレビ」と呼んでも違和感はありませんでした。

　しかし、テクノロジーの発達によって、テレビ番組は必ずしも「テレビ」で見るものではなくなりました。特に、PC並みの処理能力を持ちながら小型で持ち歩けるスマホが普及したことで、テレビ放送はリビングで楽しむものから、いつでもどこでも自分の好きなとき、好きな場所で楽しむものになりつつあります。

　そんな新しいテレビの楽しみ方を実現するのにぴったりのツールが、ソニー・コンピュータエンタテインメント（SCE）のネットワークレコーダー、「nasne（ナスネ）」です。nasneは希望小売価格で22,000円＋税と、レコーダーとしては破格の安さでありながら、ブルーレイレコーダー上位機種と同等の多彩な機能を備えています。
　プレイステーションの周辺機器、というイメージが強いかもしれませんが、実際にはPC（Windows）やスマホ・タブレット（iOS/Android）で、いつでもどこでもテレビを楽しむことができます。
　PCやスマホとnasneを組み合わせると、テレビのない寝室やキッチンなど、自宅のどこにいても録画や放送中の番組を見ることができます。自宅内のネットワークに接続していれば、ワンセグやフルセグのないスマホやタブレット、PCでテレビが見られるのです。
　また、PCやスマホで外出先から録画予約したり、見たい番組を「持ち出し」して見ることもできます。
　2014年9月のシステムソフトウェアバージョン2.50のアップデートでテレビ番組のリモート視聴にも対応し、スマホやPlayStation Vitaで外出先から録画番組や放送中の番組が見られるようになりました。録画してもなかなか見る時間がない、という人でも、移動中や出張先での空き時間を使ってテレビを楽しめます。

　高性能なレコーダーの上位機種でも同じことはできますが、nasneならレコーダーよりもずっと低価格で「どこでもテレビ」環境を実現できるのが魅力です。コンパクトでじゃまにならないので、レコーダーと併用する2台め以降の録画機器としてもおすすめです。本書では、nasneの機能や使い方を説明しながら、テレビの新しい楽しみ方をお伝えしていきます。

2014年10月

甲斐祐樹