深川の風――昭和の情話それぞれに

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深川の風――昭和の情話それぞれに

  • 著者名: 吉川 潮 著
  • 発売日:2016/04/28
  • 判型: 四六判
  • ページ数: 264P
  • ISBN:9784844377269
  • 価格: 1800 円

こには、落語の世界にも描かれている「江戸の人情」が確かに残っていた。親子・夫婦・師弟・他人の情けが織りなす人間模様と人生の機微。「人の温かさ」を思い出させてくれる昭和の下町物語。
【あとがきより】
この小説を書くきっかけを作ってくれたのは、私が顧問を務めていた落語立川流の家元、談志師匠である。
家元が肝臓と糖尿病の治療で入院していた平成二十三年二月、病床で時間を持て余し、よく本を読んでいたようで、見舞いに行くと、
「三【み】亀【き】松【まつ】を読み直したよ。あなたの作品の中じゃやっぱりあれが一番好きだな」と言われた。
平成十五年に刊行した『浮かれ三亀松』のことだ。
「三亀松が生まれ育った深川の風景が浮かんでくる。また深川を舞台にした小説を書いてくれないかな」
家元が私にそういった注文を出すのは初めてだった。
「そうですね。小説の舞台としてはもってこいの土地柄と気風ですから、構想を練ってみます」

【目次】
第一章 『辰巳の辻占』
第二章 『子別れ』
第三章 『替り目』
第四章 『つるつる』
第五章 『たらちね』
第六章 『四段目』
第七章 『高砂や』
第八章 『火事息子』
最終章 『親子酒』